研究概要 |
本研究は,全日の在室を前提とし,比較的熱負荷の小さな医療保健施設において,躯体蓄熱式空調システムの適合性を確認するとともに,さらに,放射・換気・湿度制御が可能な総合的な空調システムについて検討するものである。本年度の研究実績は以下のとおりである。 (1)病室における躯体蓄熱の適応性について(シミュレーション) 病室を想定した数値シミュレーションにより,躯体蓄熱空調システム(プレナム内空気吹き付け方式)を採用した場合の室内熱環境およびエネルギー消費特性について検討した。また,夜間電力の有効利用とコスト削減を目的とした躯体蓄熱・氷蓄熱併用運転の効果についてもシミュレーションによる検討を行った。病室の空調システムとして躯体蓄熱を採用することにより室内の放射環境改善効果が認められ,さらに,氷蓄熱と併用した場合は,通常の全日空調より従量電気料金が38%低減する。 (2)医療施設の空調設備設計条件及び管理指針の確認と整理 「病院空調設備の設計・管理指針(HEAS-02-1998)」(日本病院設備協会)の確認や医療従事者(産業医科大学産業生態科学研究所)との面談を行った。院内空気の清浄度の確保,気流分布,圧力バランスを含めた総合的な換気計画の必要性が明らかになった。 (3)療養施設および療養室の熱環境および熱負荷パターン解析 研究代表者によって1999〜2000年に行われた老人保健施設2件(従来型空調方式と蓄熱式床暖房方式)の調査データを詳細に解析し,療養室熱環境と施設の熱負荷パターンについて整理した。
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