研究概要 |
本研究は,全日の在室を前提とし,比較的熱負荷の小さな医療保健等の施設において,躯体蓄熱式空調システムの適合性を確認するとともに,さらに,放射・換気・湿度制御が可能な総合的な空調システムについて検討するものである。本年度の研究実績は以下のとおりである 1.氷蓄熱床吹き出しパッケージを利用した躯体蓄熱システム(蓄熱時の空気経路:室内機→床下(閉空間)→ペリメータダクト→天井内→室内機)を採用するビル(平成15年5月竣工)の計測システムの構築を行い、竣工後の実測に向けて、床スラブ表面および内部温度(計81点)など合せて約200点のセンサー取り付け作業を行った。 2.2003年4月に完成した北九州市立大学特殊実験棟に天井スラブ垂直吹き付け方式の躯体蓄熱システムを採用し、天井裏空間での温度変動、スラブ蓄熱量、天井下面の熱流や総合熱伝達率等の諸特性について検討した。本システムにおいて空調負荷の約40%はスラブへ、20%程度は天井板へ蓄熱されている。また、蓄熱時に天井スラブ下表面の総合熱伝達率は7〜10W/m^2・Kであることがわかった。 3.内部発熱が比較的小さい(熱負荷のピークが冬季暖房時に生じる)療養施設や一般住宅における床蓄熱システムについて検討を行った。前者は潜熱蓄熱式床暖房方式、後者は床下温風暖房方式である。床下温風暖房方式の地盤への熱損失は小さく、地盤の熱容量をうまく利用したシステムであることが明らかになった。
|