研究概要 |
比較的小さな熱負荷で全日の在室を前提とするような医療保健施設において,躯体蓄熱式空調システムの適合性を確認するとともに,さらに,放射・換気・湿度制御が可能な総合的な空調システムのための基礎研究を行った。 1)潜熱・顕熱式電気床暖房システムを採用した老人福祉施設での室内温熱環境測定やシミュレーションモデルによる評価の結果、(1)床から室内への放熱は一日を通して確認でき、室内の垂直温度分布は均一であること、(2)PMVは生活時間帯を通してほぼ±0.5以内におさまっており快適感が得られることを明らかにした。 2)氷蓄熱ビルマルチパッケージと天井内空気吹き付け式躯体蓄熱を併用したオフィスビルにおける夏季の室内環境、スラブ蓄熱量、消費電力の夜間移行率などについて、調査解析を行った。 その結果、(1)室内熱環境はASHRAE快適域の推奨値を満たしていること、(2)消費電力量の夜間移行率は60%であり、そのうちの14%は躯体蓄熱の寄与分であったことなどを明らかにした。 3)氷蓄熱式マルチ床吹出し型パッケージと電動シャッター付床吹出口の組合わせにより、上下床スラブの躯体蓄熱と氷蓄熱併用システムを採用したビルの室内環境、躯体蓄熱量、システムの効率について検討した。その結果、(1)期待通りの室内熱環境と負荷平準化効果が得られること、(2)GRCに蓄熱された冷熱は午前中を中心に放熱され午後からは床スラブからの放熱が大部分を占めることなどがわかった。
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