景観整備における夜景の重要性を鑑み、今年度は幅広いスケールの都市空間を通る東京臨海新交通臨海線をケーススタディとしてとりあげ、昼と夜の注視特性についての研究を進めた。 1.昼夜間の車窓景観の注視領域 対象路線全区間において昼夜間両方の車窓景観を撮影、被験者実験により注視領域を得た。 (1)水平的な注視領域 昼夜の違いを生む要因として、広域的には昼にはスカイライン、夜は輝度が機能していることが分かった。また人間や車など、可視のアクテイビティも同様の効果を持つ事が分かった。 (2)垂直的な注視領域 注視点の約70%が撮影範囲の中間領域に分布した。夜間の方が低めの平均注視点を示した。 2.昼夜間の車窓景観の注視対象 水平的な注視領域において、昼夜間の注視距離に差が見られた区間において、その注視対象の差を調べた。その結果、昼間においては以前の結果と同じく建物と緑に高い注視傾向が見られた。 夜間は照明など光があるものに注視点が集中するなかで注視対象によっていくつかの特徴が見られた。建物などの固定されている光はよく注視されるものの、個々の注視時間は短い傾向が見られた。建物の中でも窓の光が点的に分布する建物より面的に発光する建物により高い注視傾向が見られた。それに対して、観覧車や車のライトなどの移動する光は、注視数は少ないものの注視時間が長かった。そして、注視距離と注視点の移動には正の相関が見られた。看板のようなディテール要素は注視対象としての役割を果たしており、特に、文字型の看板より板型の看板に高い注視傾向が見られた。
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