1)ゆらぎによる車窓景観分析のため都電荒川線においてVTRによる沿線両側の車窓景観を記録した。 2)撮影した車窓景観にアイマークレコーダーを用いた被験者実験を行い、被験者の注視点の変化を普通速度と倍速度の2例について記録し、速度による注視点のばらつき、注視分布、注視範囲の変化と、速度差異による注視特性の変化を検証した。その結果、注視のばらつきが倍速度において小さくなる事が分かった。また注視点が、加速時には次第に進行方向に、等速時には画面中心に、そして減速時には進行方向より負の向きに移動する事が分かった。 3)被験者の注視点の把握を通じて速度変化による注視対象の変化も分析した。その結果、速度増加に伴い、樹木への注視が増え、また全体として遠景への注視が増えることが分かった。 4)車窓景観のゆらぎ値波形をその動画像より抽出した濃度値より得た。注視特性のゆらぎ値波形を注視対象から同様に得た。車窓景観と被験者との濃度値プロットを比較し、またゆらぎ解析によって算出した速度の差異にみるゆらぎ値を比較した。その結果、速度増加に伴い、注視対象の車窓景観が単調な物になることが分かった。 5)昼夜間における注視特性の相違の分析のため東京臨海新交通臨海線においてVTRによる沿線片側の車窓景観を昼間と夜間の両方において記録した。 6)撮影した車窓景観にアイマークレコーダを用いた被験者実験を行い、被験者の注視点の変化を昼間、夜間の2例について記録しそれぞれにおける注視領域、注視特性の相違を調べた。その結果、中景の広がりが昼夜の注視領域の広さに影響している事が分かった。また、夜間はより下部への注視傾向が見られた。 7)被験者の注視点の把握を通じて昼夜間における注視対象の変化を分析した。その結果、建物が最も多く注視され、また昼間は自然要素、夜間は特に動く照明がよく注視されることが分かった。
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