研究課題/領域番号 |
13450254
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研究機関 | 武蔵野美術大学 |
研究代表者 |
源 愛日児 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (00174102)
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研究分担者 |
大野 敏 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (20311665)
後藤 治 工学院大学, 工学部, 助教授 (50317343)
モリス マーティン・ノーマン 千葉大学, 工学部, 助教授 (20282444)
堀江 亨 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (70256832)
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キーワード | 指物(差物) / 指鴨居(差鴨居) / 指付け / 架講 / 梁組 / 民家 / 近世 / 仕口 |
研究概要 |
本年度活動として、1)研究会、12回2)見学会、1回;重要文化財修理工事現場(神奈川県関家住宅)3)実地調査;下記の建築の指物を中心とする実測調査とその記録4)文献、実地調査の記録;民家22棟、寺院附属屋2棟、城郭2棟、庫裡2棟以上28棟のデータベースの作成5)発表;日本建築学会大会4編を行った。 日本建築学会大会において、一昨年度に掲げた研究の目的、視点、方法論、対象とする範囲に基づきながら、昨年度は調査対象とする建築の用途を拡げており、そのことを反映した研究報告(庫裡2編、城郭1編、寺院1編)を行った。上記大会梗概を通して、先ず指付技法、指物による架構が、民家に固有なものではなく、日本の木造建築において普遍性をもった架構法として成立していた可能性を指摘した。即ち天井裏に柱をのばす寺院に見られる柱と繋ぎ梁の架構と四方下屋との類似、山梨県での庫裡と民家架構の類縁性、関西の近世前期民家と彦根城の軸部に共通して見られる梁桁行の等質化に対する指物の寄与である。これら民家と非民家との間に変遷過程的な繋がりは無いとしても、架構形式という抽象的な次元で類似していることは、指物架構の広がりという意味において重要と考える。また、指鴨居が長押に比べ格式的に劣るという一般的見方に対し、庫裡での意匠的な意味を帯た積極的用法の指摘も重要であり、民家の指梁、指鴨居においても材種、断面形状、表面仕上げの相違と、指物を諸室へ配置する仕方との関連などを検討する価値があると考える。 次年度の展開としては、個別的に進めてきた諸調査を関連付け、全体を変遷の系統樹として描くパースペクティブを模索してゆくことが重要な課題であると考えている。調査し得た件数はそうした議論には十分と言い難いが、何らかの見通しを得ることを次年度の研究課題としたい。
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