研究課題/領域番号 |
13450255
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
深道 和明 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00005969)
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研究分担者 |
佐久間 昭正 日立金属(株), エレクトロニクス研究所, 主任研究員
笹尾 和宏 東北大学, 大学院・工学研究科, 博士後期課程・日本学術振興会特別研究員
梅津 理恵 東北大学, 大学院・工学研究科, 日本学術振興会特別研究員
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キーワード | Mn系合金 / ネール温度 / 結晶歪み / 磁気構造 / バンド構造 |
研究概要 |
γ-Mn系不規則相合金の中で高いネール温度を有し、GMR, TMR効果を示す交換結合膜中の反強磁性材料として着目されている,MnRh、MnIr合金について実験および理論計算を行った。 理論計算の結果より、Mn_3Rh規則相合傘はT1型のスピン構造の場合に最も安定で、バンド構造においてフェルミ面近傍にディップを生じることが明らかになった。また、不規則相合金の場合は、3-Q型スピン構造が最も安定で、多重散乱理論を基にした計算結果から見積もられるネール温度は約680Kと実験値(約700K)とよく対応する。γ-Mn単体に比べてネール温度が高いのはRh元素の添加がもたらすバンド構造の変化に起因していると考えられる。以上の結果をまとめた論文は学術雑誌(Phys. Rev. B)に掲載された γ-MnIr合金については不規則相合金の相図に関して主に研究がなされた。Mn_3Ir不規則相合金のスピン構造はMn_3Rhの場合と同様に、3-Q型スピン構造が最も安定で、理論計算から見積もられるネール温度は約735Kと実験値(約730K)とよく対応する。Mnリッチの組成においても安定な磁気構造を調べたところ、Ir13%以下の組成では2-Q型スピン構造が安定であることが分かった。この結果はスピン構造の変化には必ずしも立方晶から正方晶への構造相変態が伴わない事を示唆する結果である。実際にIr13%近傍の試料を作製し、粉末x線回折、磁化、電気抵抗測定を行い構造相変態温度と磁気転移温度を詳細に調べたところ、Ir14.8%の試料では立方晶から正方晶への構造相変態は約280K、3-Qから2-Q型スピン構造への磁気転移温度は約125K、と別々に観測された。以上の結果は学術会議で発表され、学術雑誌(Phys. Rev. BおよびJ. Alloys and Compods.)に論文が掲載された。
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