本年度はMnとTiを組み合わせたペロブスカイト型構造をもつ物質についてGdなどの中希土類元素で合成を行い、その構造解析より単斜晶系に属する新しい物質を生成した。この物質は磁気的には反強磁性を有していて、ネール点に対応して熱測定で明らかなλ型ピークを観測することができた。またMnとRuとの組み合わせにより数種の希土類で新しい固溶体が生成でき、これらの磁性はいまのところ、一見スピングラス状に見えるが、結晶のひずみに伴うスピンの傾きで強磁性成分が残った状態のようにも考えられるので現在低温磁性を測定中である。さらに、構造解析に関しては基本のLnMnO_3についていくつかの希土類で単結晶による構造決定に成功した。また以下の層状物質に関連してSr-rich側の希土類マンガナイトについて先ずLaを少量固溶した新しい物質系の構造解析に電子線回折も取り入れて成功した。これらの構造解析の結果については近日出版予定となっている。 一方ペロブスカイト関連の層状物質の合成ではBaGd_2Mn_2O_7で単斜晶系に属する新しい相を見つけたのでこの系について粉末X線回折法を用いて高温まで相挙動を集中的に実験をしているところである。またこの系についても一部の相について単結晶の合成に成功したのでその構造を決定しているところである。この単結晶は超格子をもつ正方晶系に属するようで、多結晶体でのデータとの整合性もある。複雑な相転移についてはDSCを用いての確認をしつつある。このGdの系についてはデータがまとまりつつあり、もう少しの実験結果を得れば相関係が明らかになるものと思われる。 以上のように今年度は合成実験が順調に進みいくつかの新しい相の解析結果が積みあがってきた。
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