従来行われていた液相からのセラミックスパターニングでは、粒子あるいは前駆体を基板上に所定のパターンに並べた後に焼成して熱分解、あるいは焼き付けを行っていた。これに対して本研究では溶液中に基材を入れ、その界面を局部励起することにより結晶性のセラミックスの合成と固定化を同時に(in-situまたはon-siteで)起こさせることが特色である。この方法の開発は本研究が初めて実現したもので、現在発表中であるが世界中から注目されている。特にこの方法は省エネルギー、省資源さらに省廃棄物、省排熱の低環境負荷プロセスであり、将来の材料プロセスとして極めて有望と考えられている。研究の初期目標に対して以下の結果が得られた。 1.レーザー光を用いた溶液中でのパターニング レーザー照射製膜装置の改良によりレーザー光を全面スキャンすることが可能となり、チタン酸バリウムおよびチタン酸ストロンチウム膜の直接作製に成功した。それぞれの膜をX線回折法で評価したところ、比較的結晶性のよい薄膜であることがわかった。 2.インクジェットプリンティングによる直接パターニング 市販のインクジェットプリンタを改造し、目的の反応溶液を対象基板上に制御して吹き付け半導体であるCdSおよびPbSのパターンを紙の上に後処理なしで直接作製できた。これは加熱処理を必要としない本方法に依るところが大きい。パターンはラマン分光法などにより定性分析を行った。 2.局所電析によるカーボン直接パターニング エタノール中に電極を設置し、電極簡易直流高電圧または高周波電力を印加することにより、電極上にダイヤモンドライクカーボン、溶液中に分散したカーボンナノカプセルが生成した。これらはラマン散乱分光分析により確認された。
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