研究概要 |
弾性異方性の強い繊維強化複合材料の弾性定数と内部摩擦を高精度に計測することを目的としてきた.このため,独自に電磁超音波共鳴/レーザー計測システムを開発し,シリコンカーバイド強化チタン合金複合材料の弾性定数と内部摩擦を室温から900℃の範囲で測定した.そして,マイクロメカニックスと呼ばれる計算手法を利用して,シリコンカーバード繊維一本の5つの独立な弾性定数を室温から900℃の温度範囲において決定することに成功した.さらに,独自に開発した点接触超音波顕微鏡を用いて,シリコンカーバイド繊維の断面内のヤング率分布を計測することに成功した.この結果,コア部に存在する炭素のヤング率が500GPaを超える高いものであることが判明した.これは,グラファイトに似た炭素結晶のC軸が半径方向に向いた集合組織を有し,弾性定数が極めて大きなa軸が繊維の軸方向を向いていたためであり,内部組織と弾性定数の測定結果に良い相関を見出すことができた.また,シリコンカーバイド層の中でも弾性定数は分布しており,特に炭素に近い部分では弾性定数が急激に減少していた.おそらく,炭素が拡散してきたことにより、理想的なSiCの組成に比べて炭素が過剰に混入した組織となっているために,弾性定数の低下が見られたものと考えられる.
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