研究概要 |
本年度はBCC相単相のV_<35>Cr_<40>Ti_<25>合金およびBCC/Laves二相型Ti-Cr合金を試料として用い,これらの合金中の水素濃度分布をトリチウムラジオルミノグラフ法による水素マッピング像観察から定量的に測定した.また,X線顕微鏡により試料構成元素のマッピング像を観察するとともにSEMにより試料の微細組織を観察し,水素分布と試料構成元素の分布および微細組織との関係を調べた.V_<35>Cr_<40>Ti_<25>合金において,試料作成時に水冷銅鋳型に接していた領域では水素濃度はチタン濃度の高い領域において高く,水素濃度分布とチタン分布の間に相関が認められた.しかしながら,徐冷凝固部および急冷凝固部では,水素分布とチタン分布の間には明瞭な相関は見られなかった.これらの領域では水素分布はチタンが偏析するデンドライト境界部分の形態に依存して変化した.Ti-Cr合金では,水素濃度分布におよぼす試料組成および熱処理の影響を調べた.試料はTi_<50>Cr_<50>合金,Ti_<40>Cr_<60>合金およびTi_<30>Cr_<70>合金であり,X線回折法により結晶構造を調べるとともに,走査型電子顕微鏡により試料の微細組織を観察した.試料はすべてBCC相とLaves相の二相が共存しているが,Ti_<30>Cr_<70>合金ではほぼBCC単相の試料が得られた.試料中の水素濃度は,試料組成の違いにより大きく異なり,また微細組織にも依存した.電解チャージした場合の水素濃度はTi_<40>Cr_<60>合金,Ti_<30>Cr_<70>合金,Ti_<50>Cr_<50>合金の順に高く,Ti_<40>Cr_<60>合金の電解液中における初期活性化特性は良好と考えられる.
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