研究概要 |
本研究は、高品位スピントンネル接合を作成するため、ハーフメタルを電極とするトンネル接合の作製、もしくは2重トンネル接合によりスピン依存共鳴トンネル効果の発現を目指す。本年度はCo_2MnGeのホイスラー合金の作製ならびに微細加工プロセスを用いた微小強磁性トンネル接合作製技術の確立を目的とし、研究を行った。ハーフメタルに関しては、Cr層をバッファーとし、適切なスパッタ条件・熱処理条件により、飽和磁化、格子定数がバルク値に近いCo_2MnGeホイスラー合金薄膜が得られることが明らかとなった。つまり、Co_2MnGeターゲット上にMn,Geのチップをそれぞれ10枚、7枚配置した場合、組成比が2.0 : 1.0 : 1.0の薄膜が得られ、さらに400℃で熱処理することにより飽和磁化が970emu/ccとバルク値(1002emu/cc)に近い値が得られた。またこの場合、格子定数もバルク値に等しい値が得られている。次に、微小トンネル接合の作製に関しては、接合面積50μm×50μm〜0.5μm×0.5μmの接合を作製し、その磁気抵抗効果ならびに耐熱特性を調べた。面積の減少に反比例して抵抗値は増加し、磁気抵抗比の面積依存性はほとんどなかった。また接合を焼鈍した結果、メタルマスクを用いて作製した100μm×100μmの接合に比べ耐熱性は向上していた。これらの結果から、接合界面の平坦性に優れた高品質トンネル接合の作製ができているものと思われる。今後、Co_2MnGeを電極としたスピントンネル接合の作製、ならびに2重トンネル接合の作製を試みていく。
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