Al+Ti+B混合粉体の反応合成プロセスによるTiB_2粒子分散Al基複合材料(MMC)の組織制御を詳細に調査・検討した昨年度の成果を踏まえ、本年度は高温材料としての評価試験を実施した。 1.粒子サイズのバイモーダル分布によって期待される効果を調べるために、サブミクロンオーダーの微細なin-situ TiB_2粒子とミクロンオーダーの粗大なex-situ TiB_2粒子から成る3種類の供試体:(1)Al-20vol% in-situ TiB_2、(2)Al-(10vol.% in-situ TiB_2+10vol.% ex-situ TiB_2)、(3)Al-20vol.% ex-situ TiB_2について、高温における剛性と耐クリープ性を評価した。いずれもTiB_2粒子の全体積率は一定(20vol.%)である。 2.剛性の評価試験:昨年度に改良・整備した高温材料試験システムを用いて、室温〜400℃の温度域で動的ヤング率を測定し、(1)室温〜約150℃ではいずれの供試体もAl単体に比べ約40GPa高いヤング率を有すること、(2)この温度域を超えると、粒子サイズに依存する強化粒子の応力緩和(界面拡散)および多結晶Alマトリックスの粒界すべりによる擬弾性効果として、徐々にヤング率は低下すること、(3)しかし、いずれの供試体も400℃の高温でAl単体に比べ30〜40GPa高いヤング率を有していることを明らかにした。 3.耐クリープ性の評価試験:上記の試験システムを用いて、試験温度400℃、負荷モードを引張(一部のものについては引張と圧縮)とするクリープ試験を行って、(1)クリープ変形に対する'しきい応力'レベル、(2)最小クリープ速度の負荷応力依存性、(3)クリープ損傷(界面剥離、粒子破壊)の有無について、期待される粒子サイズ効果の観点から詳細に評価・検討した。
|