研究課題/領域番号 |
13450288
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
瀬尾 眞浩 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20002016)
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研究分担者 |
伏見 公志 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20271645)
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キーワード | ナノ・メカノ・エレクトロケミストリ / ナノ・インデンテーション / ナノ・スクラッチ / チタン / アノード酸化 / 表面硬さ / 表面摩擦係数 / 皮膜の補修 |
研究概要 |
(1)小型電気化学セルを用いて、ほう酸塩水溶液中、5V(RHE:その溶液の可逆水素電極基準の電位)でアノード酸化した多結晶チタン表面の液中および大気中、インデントおよびスクラッチ試験をおこなった。 (2)インデント試験より得られる荷重-深さ曲線から表面硬さを、スクラッチ試験より得られるラテラルフオース曲線から表面の摩擦係数を求めた。 (3)アノード酸化した多結晶チタン表面の硬さおよび摩擦係数は、液中のほうが大気中に比べて著しく大きくなる結果が得られた。液中と大気中における硬さおよび摩擦係数の違いは、前年度の実験で得られた単結晶鉄表面に比べて著しく大きかった。 (4)インデントおよびスクラッチ中、チップ先端でアノード酸化物皮膜(不働態の破壊と修復が起こると考えられる。大気中では、皮膜破壊部の修復は、空気酸化によってのみ起こる。一方、液中、表面が電気化学的に制御された状態では、皮膜破壊部からの活性溶解と再不働態化が迅速に進行することが予想される。皮膜の修復はインデントおよびスクラッチ時のチップ先端の移動に対する抵抗となり、硬さおよび摩擦係数の増加を生じる。 (5)大気中に比べ液中における硬さおよび摩擦係数の増大は、皮膜破壊部の修復が液中で迅速に進むためと考えられる。また、多結晶チタンは単結晶鉄に比べて、高い電位すなわち5V(RHE)に保持されているため皮膜破壊部の修復速度が単結晶鉄表面に比べて大きいと考えられる。以上のことから、液中インデントおよびスクラッチにより皮膜の破壊と修復に関するナノ・メカノ・エレクトロメミカルな情報を得ることができる。
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