研究課題/領域番号 |
13450290
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡辺 豊 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10260415)
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研究分担者 |
生島 豊 独立行政法人産業技術総合研究所, 超臨界流体研究センター, 有機化学チーム長(研究職)
湯上 浩雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60192803)
阿尻 雅文 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (60182995)
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キーワード | 超臨界水 / 腐食 / 応力腐食割れ / ニッケル基合金 / ステンレス鋼 / 時効劣化 / 硫酸 / 酸化物 |
研究概要 |
硫酸を含みかつ酸化性の超臨界水環境下で、ステンレス鋼およびNi基合金について腐食試験および低ひずみ速度試験を実施し、耐食性及び応力腐食割れ感受性を評価するとともに、劣化支配因子の解明を行った。400℃における316系ステンレス鋼の割れ感受性を硫酸濃度(10ppm〜10000ppm)および圧力(10MPa〜60MPa)の関数として調査した。応力腐食割れ発生に関する硫酸濃度の下限界を明らかにすべく、硫酸濃度を関数として割れ感受性を評価した結果、10ppm程度の低濃度硫酸環境(400℃/25MPa)においても明確な粒界応力腐食割れ感受性のあることが明らかとなった。また、圧力依存性評価試験結果から割れ感受性が庄力に不敏感であることが明らかとなった。とくに、気相条件(400℃/10MPa)においてさえ、100ppmの硫酸添加により割れ感受性が現れることが判った。これらは、溶解型以外の割れ機構を示唆する結果と考えられた。加えて、き裂周辺の分析結果に基づき、内部酸化型の割れ機構の可能性が考えられた。一方、高Cr系のNi基合金(MCアロイ)は、相対的に割れ感受性が小さかった。 耐食性発現条件を皮膜形成の観点から考察することを目的として、316Lステンレス鋼を主たる対象として、超臨界水環境での腐食試験あるいは割れ試験中に形成された酸化物皮膜を、X線回折、レーザーラマン分光などの分析手法により詳細に分析した。形成される酸化物は主にCr_2O_3、FeCr_2O_4、Fe_2O_3の3種であったが、温度条件および溶存酸素濃度条件に依存して優先的に生成する酸化物は変化した。これらの結果について、電位-pH図による予測との整合性が認められた。
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