研究分担者 |
河田 一喜 オリエンタルエンヂニアリン(株), 研究開発部, 主幹研究員
井上 泰志 名古屋大学, 環境量子リサイクル研究センター, 助教授 (10252264)
杉村 博之 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (10293656)
手嶋 勝弥 大日本印刷(株), 中央研究所, 研究員
|
研究概要 |
本年度の研究成果は以下のとおりである. 【アモルファス窒化炭素薄膜の作製】シールド型アークイオンプレーティング装置を用いてアモルファス窒化炭素薄膜を作製した.ターゲットには純度99.999%のグラファイト焼結体を用い,シールド板を隔てて基板を設置した.成膜パラメータとして,導入ガス組成および基板バイアスを制御した. 【アモルファス窒化炭素薄膜の特性評価】導入ガスとしてAr, Ar/H_2を用いた場合の堆積膜はそれぞれアモルファス炭素,水素化アモルファス炭素となるが,どちらもその機械的特性が基板バイアス値に大きく依存しており,最適バイアス値では高硬度・高耐摩耗性を示す一方,それ以外の基板バイアス条件では,低硬度かつ著しく低い耐摩耗性を示した.導入ガスとしてN_2,N_2/H_2を用いた場合,堆積膜としてそれぞれアモルファス窒化炭素,水素化アモルファス窒化炭素が得られ,その硬度はどちらも基板バイアスに大きく依存せず,10GPa程度を示した.耐摩耗性も同様に基板バイアスに依存せず,アモルファス炭素の最も硬い試料ほどではないが,安定して優れた耐摩耗性を示した. 前年度に導入した紫外・可視ラマン分光装置,現有のX線光電子分光装置および赤外吸収分光装置を用いた化学結合状態解析の結果,作製膜の高硬度および高耐摩耗性は,アモルファス炭素系膜ではダイヤモンドライタなsp3結合に,アモルファス窒化炭素系膜では窒素原子の存在に伴うクロスリンク構造形成に由来する可能性が示唆された. 【その他の手法によるアモルファス窒化炭素薄膜の作製】シールド型アークイオンプレーティング法以外に,ベンゼン/窒素を原料としたプラズマCVD法およびピラジンを原料とした真空紫外光CVD法による窒化炭素薄膜の作製と特性評価を行い,成膜条件と作製膜の化学結合状態の相関を調査した.
|