研究概要 |
本成形プロセスの基本概念は,従来のプレス成形における円形や正方形,矩形ブランクの代わりに,絞り変形を受けるブランク外周部を複数箇所カットしたいわゆる展開ブランクを使用することにある.本成形法の開発に当たっては,いかにして深い容器を1工程で成形するかというプレス成形上の問題と,成形後の容器側壁部に生じた継ぎ目をいかにして接合するかという二つの課題がある. 本年度は.展開ブランクの変形解析,成形特性の解明,接合の基礎に重点を置き以下の検討を行った. 1.展開ブランク形状の決定,最適加工条件の検討 展開ブランクのカット数および形状とフランジ部の変形状態および成形限界との関係を調べ,最適な展開プランク形状を決定した.また,加工条件と製品の形状・寸法,板厚ひずみ分布,スプリングバツク等との関係を詳細に調べ最適加工条件を明かにした. 2.機械的結合(はぜ折り)による深絞りと接合の同時加工 展開ブランクのフランジ部はダイス入口部で合流する際に円周方向の圧縮応力を受けるため,材料がオーバーラップしやすくなる.このオーバーラップを利用して材料にカールを発生させ,はぜ折り加工によって継ぎ目部を機械的に結合するための加工条件を明らかにした. 3.容器則壁部の継目部の接合 継ぎ目部を接合する方法として,超音波振動付加による圧接を試み,接合状態(機械的な性質)と加工条件の関係を検討した. 4.接合部の接合状態の微視的(電子顕微鏡)観察 上記の方法で接合した接合面を電子顕微鏡で観察し,その微視的な接合状態に対する加工条件の影響を検討した.
|