研究概要 |
近年,マイクロプロセス研究の一つとしてLIGAプロセスが注目されているが、従来のプロセスはマスク上のパターンをそのままレジスト転写するため2.5次元構造のものしか製作できない。そこで、3次元形状を持った構造体の製作方法として、マスクの吸収体の厚みに変化を持たせることでX線の強度分布を変え、レジストの加工深さを変える方法を提案した。そして、このモデルを用いて、吸収体の厚みとレジストの加工深さについて数値検討した。更に、吸収体の厚みに変化を持たせたマスクを用いたレジストの加工実験を行った。 吸収体を用いたリソグラフィのモデルでは、強度P(λ)の波長分散を有するX線が、透過率T(λ,h)の吸収体を通り,加工深さ係数S(λ)のレジストに照射されるとする(λ:波長,h:吸収体厚さ,t:露光時間)。ここで、加工深さ係数は各波長における単位X線強度あたりのレジスト加工深さを示し、具体的にはレジストの感度と現像量を繰り込んだパラメータである。このモデルによる現像後の加工深さD(h)は式(1)で示される。 D=∫p(λ)tT(λ,h)S(λ)dλ (1) この式(1)を用いて吸収体の厚さと加工深さの関係について数値検討を行った結果、吸収体厚さを厚くするとレジストの加工深さが浅くなることがわかった。 更に、吸収体の厚みに変化を持たせたマスクを用いたレジストの加工実験の結果から、数値検討結果と同様に、吸収体厚さを厚くするとレジストの加工深さが浅くなることがわかった。このことから、X線の強度分布を変える方法により3次元形状を持った構造体の製作が可能であることがわかった。
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