研究概要 |
本研究は生体硬組織代替材料として現在使用されているアルミナセラミックス(A1203)やチタン(Ti)の表面に、高生体親和性を持つハイドロキシアパタイト(HAp)層を形成することにより、生体親和性が高く、機械的強度に優れた複合材料の開発を目指すものである。本研究期間(平成13〜15年度)に得られた知見は以下の通りである。 1.複合インプラント材料開発 (1)A1203上に結晶性の高いHAp層を形成する事が出来、これを疑似生体溶液に浸漬した時、試料表面に真性骨の形成がみられ、生体親和性の著しい向上を確認した。 (2)レーザー照射法を工夫することで、通常の方法ではA1203上の片面にしか出来ないHAp層を両面に形成することに成功し、実用化の目処がついた。 2.ターゲット材料のHApコーティング層に及ぼす効果 アブレーションターゲットに3種類の結晶性の異なるHAp粉末材料(微小粒子凝集体、六角状結晶、板状結晶)を利用して成膜した。成膜直後のHAp層の結晶性には大きな違いは認められなかったが、二週間疑似生体液に漬けると板状結晶では他のものとは異なったHApの成長がみられた。 3.新しいレーザー照射法(レーザーアシストレーザーアブレーション法:LALA法)の開発 (1)アシストレーザー照射タイミングを制御することにより、Ti上に極めて高品質のHAp層を形成する事が出来た。 (2)アシストレーザーにArFレーザーを用いると良好なコーティング層が出来ることがわかった。 これらの成果は、APLS'2000(招待講演、2000.8、Shanghai)、FES2001(2001.10,Nagoya),IMLAS'03(2003.6、Luxembourg)、COLA'03(2003,10、Crete)の国際会議、レーザー学会(招待講演、2003、1、浜松)、レーザー医学会関西地方会(招待講演、2003.7、狭山)の国内学会で発表した。
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