研究概要 |
平成14年度は,固液共存状態の多相系スラグ-メタル間のりんの分配について研究を行った。 溶鉄温度で溶融するCaO-SiO_2-FeO系スラグ(またはCaO-FeO系スラグ)をFeるつぼまたはMgOるつぼを用いて溶製し,ボールミルにて3ミクロン以下に微粉砕した。また,スラグと共存させる固体相である2CaO・SiO_2を焼結法にて作製し,振動ミルで粉砕後,種々の粒径に篩い分けした。スラグと共存させる固体相であるCaOは,1%CaCl_2を加えて十分混合し,円柱状に圧粉成形後高温で焼成することにより緻密質CaOとした後,振動ミルで粉砕し,種々の粒径に篩い分けした。スラグ微粉末および固体粒子を所定重量比に秤量し,均一に混合して円柱状に圧粉することにより,メゾスコピック相を作成した。 得られたメゾスコピック相を,りんを含む溶鉄(1560℃)あるいは炭素飽和溶鉄(1400℃)に浸漬することにより,鉱物相-溶鉄間,液相スラグ-溶鉄間および鉱物相-液相スラグ間のそれぞれについてりん分配を行わしめた。その結果,2CaO・SiO_2固体+CaO-SiO_2-FeO系スラグのメゾスコピック相では,脱りん反応によって2CaO・SiO_2固体相は2CaO・SiO_2-3CaO・P_2O_5相に変化した。メタル界面近傍において2CaO・SiO_2-3CaO・P_2O_5相中のP_2O_5濃度は高く,また固体相中でP_2O_5濃度は均一であったが,界面から離れるにつれて固体相中のP_2O_5濃度は低くなり,固体相表面のみP_2O_5濃度が高かった。また,スラグ中のFeO濃度はメタル界面近傍ほど低かった。CaO固体+CaO-FeO系スラグによるメゾスコピック相の場合,メゾスコピック相中での4CaO・P_2O_5相(CaO固体が共存する場合)または3CaO・P_2O_5相(CaO固体がcalciumphosphate相の生成に消費されてしまった場合)生成は速やかであった。
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