研究課題/領域番号 |
13450311
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
金属生産工学
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
向井 楠宏 九州工業大学, 工学部, 教授 (60023173)
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研究分担者 |
和才 京子 九州工業大学, 工学部, 助手 (90128124)
趙 耀華 九州工業大学, 工学部, 助教授 (60315166)
古川 義純 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (20113623)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 微細粒子 / 水溶液 / 凝固界面 / 表面張力勾配 / 界面張力勾配 / 粒子の運動 / 微小重力 / 地上 |
研究概要 |
金属材料等、現代の大部分の材料は液体から凝固過程を経て製造される。それゆえ液体中の異相粒子が凝固の際、凝固界面付近でどのような振舞いをするのか、このことの解明は、高品質の材料の合理的製造プロセスを開発する上で、欠くことのできない基礎的知見を提供するものであると考えられる。 一般に、溶液の凝固界面前面には、温度勾配と溶質の濃度勾配が形成される。表(界)面張力は、温度溶質の濃度により変化する。それゆえ、凝固界面前面の気泡、固体粒子等の異相粒子と溶液間の表(界)面に沿っては、表(界)面張力勾配が生じる。向井らはすでに溶液中微細粒子が表(界)面張力勾配のもとで運動しうることを明らかにしたが、地上の1Gのもとでの実験であったため、決定的な結論は得られていない。 本研究はそこで、凝固界面前面での異相粒子の挙動を明らかにすることを目的として、次の二つの実験を行なった。すなわち、(1)表面活性剤水溶液および非表面活性剤水溶液の凝固界面前面での微細気泡の挙動を、地上の1Gおよび航空機実験によるμG下において調べた。(2)次に、純水中温度勾配下での微細グラファイト粒子の挙動を、1GおよびμG下において調べた。 その結果、(1)については以下のことが確認できた。表面活性剤水溶液中の微細気泡は、凝固界面前面の濃度境界層内において、表面張力勾配に基づく力の作用によって、凝固界面に素速く引寄せられ、捕捉される。一方、濃度境界層の外側あるいは、凝固速度が零で濃度境界層が形成されない場合、および非表面活性剤であるNaCl水溶液では、凝固界面へ向かう動きは全く観察されない。(2)については、温度勾配に基づく界面張力勾配による力によって、微細グラファイト粒子の沈降速度が等温系に比して、遅くなることが明瞭に確認できた。 以上の結果より、溶液の凝固界面前面の微細異相粒子には、表(界)面張力勾配によって誘起される力が作用し、そのことが粒子の挙動に対して、μG下だけでなく1Gにおいても支配影響を与えることが明らかになった。
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