研究課題/領域番号 |
13450317
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
東谷 公 京都大学, 工学研究科, 教授 (10039133)
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研究分担者 |
神田 陽一 京都大学, 工学研究科, 助手 (60243044)
宮原 稔 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60200200)
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キーワード | 原子間力顕微鏡 / 吸着 / 表面 / 水溶液 / 表面間力 / 高分子 |
研究概要 |
高分子電解質は、コロイド分散系の凝集剤や安定剤として下水処理や鉱工業など様々な分野に応用されている。この凝集、安定効果の評価、制御は、ほとんど経験に頼っているのが現状である。効率的なプロセスのためには、操作条件とともに性能のよい高分子開発が必要であるが、そのためには界面における高分子の吸着構造及び吸着した表面間相互作用力を理解することが必要である。本年度は、水溶液中のカチオン性高分子の雲母板表面への吸着構造を原子間力顕微鏡(AFM)によりin situ観察することを試みるとともに、表面間力との関係を検討した。その結果、以下の結論を得た。(1)高分子水溶液中では、高分子は雲母板表面に島状に吸着することを示した。(2)水溶液中における高分子構造の十分な緩和には10日以上の長い時間が必要である。20日間放置した希薄溶液を用いることにより、分子量1000万の高分子1分子を純水中でin situ観察することに成功した。(3)分子量の小さい高分子は、吸着構造が小さく、丸まって吸着していることを示した。(4)無機電解質イオン濃度を変化させて検討を行い、分子内の静電反発力の減少は、緩和を抑え吸着構造を小さくすることを示した。(5)吸着構造と表面間力の比較検討の結果、塊状吸着構造は鎖状吸着構造に比べ引力が強くまた長距離に作用し、凝集効果が高いことを示した。このことは粉末で供給される高分子を凝集剤として用いる際は、十分な溶解・緩和が起こる前に使用する方が効率的であることを示唆していると考えられる。
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