1)実験用小型CZ炉の設置準備: NEC(株)より小型CZ炉を移設する予定で準備を進めているNEC側の都合で、移設時期が約半年遅れ、本年度内に運送、来年度組み立ての手順となった。従って、実験は次年度以降に実施する。 2)小型CZ炉の総合シミュレーション NECより移設する小型CZ炉の型状に合わせた総合シミュレーションプログラムを開発した。 本プログラムは2次元(軸対称)定常流を仮定したコードで、小型炉に適用可能である。 本プログラムを用いて、るつぼ・結晶を静止した場合の熱移動、メルト、ガスの流動、メルト及びガス中の酸素の移動に関するシミュレーションを実施した。その結果、以下の事柄を見い出した。 a)酸素移動速度は、メルト相内、気相内の拡散抵抗によって律速されていること。 場合によっては、ルツボ壁近傍で蒸発したSiOが、メルト表面から再吸収される可能性もある。 b)メルト表面にマランゴニ効果が作用する場台としない場合について、結晶中の酸素濃度を比較した結果、通常のCz口の場合にはほとんど差違が無いことを確認した。しかし、炉内に輻射遮蔽のための円筒形シールドを設置すると、ガスはメルト表面に沿って流れ、せん断力をおよぼしメルトの流動パターンを変化させる。マランゴニ効果の有無がメルト流れを大きく変えるため、結果として結晶中の酸素濃度が大きく異なる。 これらのシミュレーション結果をJ. Crystal Growth誌に公表した。 更に、るつぼの回転の効果を加えたシミュレーションを実施中である。その結果は現在取りまとめ中で、投稿の準備を進めている。これらの計算結果の妥当性については、次年度以降の実験によって検証する予定である。
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