研究課題/領域番号 |
13450323
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
反応・分離工学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
米本 年邦 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40125688)
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研究分担者 |
久保 正樹 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50323069)
北川 尚美 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00261503)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 生理活性物質 / 抗酸化剤 / 酸化防止 / β-カロチン / ビタミンE / カテキン類 |
研究概要 |
本研究は、新規な抗酸化剤であるカテキン類の抗酸化活性を評価すると共に、カテキン類による酸化抑制機構を解明し、生理活性物質の完全酸化防止を実用レベルにおいて実現することを目的としている。平成13年度は、生理活性物質にβ-カロチンを取り上げ、不活性なn-デカン溶媒中において2種類のカテキン(エピガロカテキンガレード;EGCG、エピカテキンガレート;ECG)添加条件下で酸化実験を行った。どちらのカテキンを添加した場合も、カロチン濃度が緩やかに減少する期間が観察されたことから、カロチン酸化が抑制されたと考えられる。また、この酸化抑制期間は、ECGの場合添加濃度の増加に伴い長くなったが、EGCGの場合ある添加濃度で最大となった。EGCGはECGとは異なりピロガロ構造を有することから、抗酸化活性以外に、自身の酸化により反応性の高い活性酸素を生成し、この活性酸素が目的物質の酸化を促進させている可能性があると考えられる。しかし、これらの実験ではカテキンをn-デカン中に溶解させるために微量のエタノールを用いており、このエタノール量に応じてカテキンの抗酸化活性が変化することも分かった。脂溶性のカロチンは一般にoil in waterエマルションの形で食品に添加されており、カテキンは両親媒性であるが水相により溶解し易いことから、脂溶性のカロチンやビタミンEとカテキンとの反応は、油水界面で生じると考えられる。そこで平成14年度は、界面積既知の単純な油水二相系でビタミンEのみを添加してカロチンの酸化実験を行った。そして、水相の存在によって油相でのビタミンEの消費が抑制され、その結果、カロチン酸化の抑制期間が油相均相系よりも長くなることを明らかにした。このビタミンEの消費が抑制される物理化学過程として、ビタミンE自身の酸化によって生じた極性の高い連鎖成長ラジカルが油相から水相に移動して除去されることを考え、新たな速度論モデルを構築した。このモデルは、種々の初期ビタミンE濃度条件において、カロチンおよびビタミンE濃度の減少挙動を良好に表現することができた。
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