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2003 年度 実績報告書

情報認識膜を用いた自律代謝型組織の構築

研究課題

研究課題/領域番号 13450326
研究機関東京大学

研究代表者

山口 猛央  東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30272363)

研究分担者 高羽 洋充  東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (80302769)
酒井 康行  東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (00235128)
中尾 真一  東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00155665)
キーワードプラズマグラフト重合 / 生体類似膜 / 細胞培養 / 環境応答ゲル / ホストゲスト / クラウンエーテル / 新陳代謝 / ティッシュエンジニアリング
研究概要

生体膜ではイオンゲートが存在し、イオンシグナルが来たときにだけ細孔を開閉する。情報伝達シグナルにより細胞内外の特定イオンや物質の濃度を調節することが可能である。人工膜中にセンサー(包接ホスト)やアクチュエーター(環境応答ゲル)を組み合わせ、シグナルを認識したときにだけ細孔を高速に開閉する分子認識イオンゲート膜の開発に成功している。この膜はカリウムなど特定イオンが来たときにだけポリマー鎖が細孔内で膨潤し細孔を閉じる機能を有する。
本研究では、この情報シグナル認識機能を人工代謝機能へと応用した新規なハイブリッド型人工臓器を提案する。情報認識膜の表面に細胞を成長させる。細胞の一部が死滅すると全体の細胞へ悪影響を与え(生体では炎症など)、機能を維持できない。多くの細胞はカリウムポンプにより細胞内でカリウム濃度が高い状態を維持している。通常、細胞内部でのカリウムイオン濃度は4000ppmであり、血漿中の濃度は200ppmである。細胞が死滅すると細胞膜が破壊されカリウムイオンが外部へ流れ出す。膜がこの情報物質を認識し死滅細胞近辺だけポリマー鎖が膨潤し親水化すると、死滅細胞近辺の細胞が表面から剥がれる。さらに膜細孔も閉じ細胞質は透過側へは流れでない。拡散によりカリウムイオン濃度が低下するとポリマー鎖は収縮し、初めの状態と同じように細胞が増殖し細胞組織を再構成する。これを繰り返すことにより、常に組織は新しい細胞と代謝され、長期間機能を維持する。
本年度は、提案したシステムの実現に成功した。昨年度までに開発した細胞培養膜上に培養した細胞に、紫外線またはリチウムイオン添加により細胞を死滅したところ、死んだ細胞が選択的にKからはがれること胃を確認した。また、その新陳代謝システムでは、細胞が培養され、死滅部分が素早くリペアされることも確認した。計画通りに、新陳代謝材料を開発し、デモンストレーションすることに成功した。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] T.Yamaguchi, S.Nakao, et al.: "Thermo-responsive transport behavior through porous membranes with linear-grafted poly(N-isopropylacrylamide) gates : From flat membranes to core-shell microcapsule membranes"AIChE J. 49. 896-909 (2003)

  • [文献書誌] T.Yamaguchi, S.Nakao, et al.: "Development of a molecular recognition polymer system controlled by thermosensitive polymer chains"Ind.Eng.Chem.Res. 42. 380-385 (2003)

  • [文献書誌] T.Yamaguchi, S.Nakao, et al.: "New morphological control for thick, porous membranes with a plasma graft-filling polymerization"J.Polym.Sci., Polym.Chem.Ed.. 41. 1216-1224 (2003)

  • [文献書誌] T.Yamaguchi, S.Nakao, et al.: "Study of SPG membrane emulsification processes for the preparation of monodisperse core-shell microcapsules"J.Colloid Interf.Sci.. 265. 187-196 (2003)

  • [文献書誌] T.Yamaguchi, S.Nakao, et al.: "Polymer electrolyte membranes with pore-filling structure for a direct methanol fuel cell"Advanced Materials. 15. 1198-1201 (2003)

  • [文献書誌] T.Yamaguchi, S.Nakao, et al.: "Prediction and estimation of solvent diffusivity in poly(acrylate) or poly(methacrylate)s"J.Polym.Sci., Polym.Phys.Ed. 41. 1393-1400 (2003)

  • [文献書誌] 山口猛央(編集/植田充美): "ナノバイオテクノロジーの最前線(Frontier of Nano-Biotechnology)、編集/植田充美、「分子認識イオンゲート膜」"CMC出版. 52-61 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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