研究課題/領域番号 |
13450327
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
新田 友茂 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (00029480)
|
研究分担者 |
高橋 英明 大阪大学, 基礎工学研究科, 講師 (10291436)
|
キーワード | ハイブリッド型第一原理分子動力学法 / 超臨界水 / 反応機構 / 溶媒効果 / ホルムアルデヒド / エタノール / 水触媒 / プロトン移動 |
研究概要 |
ハイブリッド型第一原理分子動力学(QM/MM)法を用いて、以下の超臨界水中における反応機構を解析した。 (1)ホルムアルデヒドへのOHラジカル/OHイオンの付加反応 熱水中でホルムアルデヒドから無触媒でギ酸が生じる反応について、OHラジカルおよびOHイオンによる反応経路を考え、どちらの経路がより起こりやすいかを検討した。気相中では、反応の第一段階はどちらもバリアーなしで進行することが分かった。さらに、OHラジカル/OHイオンのホルムアルデヒドへの付加反応に対する超臨界水の溶媒効果をQM/MM法を用いて計算したところ、ラジカルおよびイオンの付加反応に対する超臨界水の溶媒効果は、水のそれと殆ど同じであることが分かった。反応速度の増大は、温度やイオン積の増大などが原因であると考えられる。 (2)エタノールの酸化反応 超臨界水中で、エタノールからアセトアルデヒドが生成するという反応に対して、プロトン移動が関与する水の触媒モデルを仮定した。遷移状態を密度汎関数法により求め、超臨界水の溶媒効果をQM/MM法により計算した。酸化反応が進むと、水が関与しない場合により活性化エネルギーは小さくなった。これは、熱水中でラジカルやイオン過程ではなく水分子が触媒として働く可能性を示したことは超臨界水中の特異な反応機構の一端を明らかにしたものと考えている。 また、QM/MM法を用いて、上記の反応に対する常温常圧の水及び超臨界水の溶媒効果を計算したところ、常温常圧の水中では、反応の活性化エネルギーは気相中と比較して、9kcal/molも大きくなるのに対して、超臨界水中では、3kcal/mol小さくなることが分かった。高密度の水中では、プロトン移動が阻害されるのに対して、低密度領域ではプロトン移動が起こりやすくなることが分かった。
|