研究概要 |
本研究の目的は、申請者らが実用化を目指している新しいCVD成膜法「イオン化CVD法」を減圧場に適応し、減圧CVDにおいて気相反応制御が膜形成におよぼす効果を確認することである。具体的には、申請者が試作したイオンの発生にUV励起/光電子放出法を用いた基板加熱Cold Wall型減圧CVD反応器を用い、TEOS/O_3CVDによる流動性SiO_2薄膜の形成を行い、原料ガスのイオン化が膜形状に与える影響を調べる。 平成13年度は、下記の2項目を実施した。 (1)減圧イオン化CVD成膜装置の改良とエキシマレーザの設置 UV光源として小型エキシマレーザ(Lambda Physik社・OPTex)を購入した。これにともない、減圧反応器の改良と反応器へレーザーを導入する光学システムのセッティングを行い、UVレーザーの発振と反応器へのレーザー光の導入が、設計どおり行われことを確認した。 (2)エキシマレーザー用光電子放出材の選定 KrFによるレーザー発振(波長248nm)をおこない、この波長で光電子放出を行う放出材の探索をおこなった。Au, Zn, Pb, Cの金属蒸着膜およびMg単結晶について光電子電流を測定した。Mg単結晶が5torr、He雰囲気で、最高の電流値を与えたが、雰囲気ガスを酸素ガスを導入すると光電子は放出されなくなった。Mg表面が酸化されたためで、オゾンを用いるTEOS/O_3-CVDには使えないことが分かった。結局、酸素雰囲気でも安定なAu薄膜が、電流値が低いながらも、安定して光電子を放出することがわかった。Au, Zn, Pb, C薄膜にエキシマレーザーを照射したときの光電子電流は、従来用いていた低圧水銀ランプの場合より1〜2桁増加した。
|