研究概要 |
ゼオライトHZSM-5のアンモニア水および塩酸処理による非常に強い酸点の制御に関する研究を行った.アンモニア水で処理する事によりこの非常に強い酸点の濃度が変化した.定量的な研究から,酸点は骨格内のA1と骨格外のA1,それぞれ一つからなるものであり,骨格外A1には水酸基が配位している事がわかった.もともと,骨格外にあったA1種がアンモニア水により水酸化物となり,処理の過程で骨格内A1の酸点近傍に配位したものと考えられる.この骨格外A1種の電子吸引特性により骨格内のA1,に隣接する酸点強度が高まるものと考えられる.この強い酸点はパラフィンの分解に対する高い活性をもつ. これに対し,塩酸などの無機酸で処理すると,これとはまったく異なる強い酸点が生成する.酸による処理によっても,非常に強い酸点の濃度が変化するが,その構造には、骨格内A1と骨格外A1からなるもの,および欠陥構造の骨格内A1からなるものの2種類がある.これらは,Lewis酸特性をもち,パラフィンの分解活性をもたない.酸処理により,A1種が骨格内から骨格外に移動するか,あるいは欠陥が生成する事によりこのような強い酸点が生成すると考えられる. これらの知見を元にして,A1種のゼオライトヘの添加による強い酸点濃度の制御に関する研究を行った.含浸とアンモニア水処理のどちらの場合にも,A1の構造や酸性質に影響があらわれ,単純な結果を得られなかった.このため,原料としたゼオライトの構造やA1種の種類,さらに調製過程など声さらに詳細に検討する必要があることがわかった.
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