研究概要 |
当初の研究実施計画に基づいて,研究を進めた結果,以下のような結論に至った. 1.ゼオライトHZSM-5内に2種類の超強酸点があることが明確になった.このうちの一つが触媒活性をもつが,他の一つは触媒活性をまったく持たない.(投稿中) 2.HZSM-5のパラフィン分解活性は,アンモニアTPDから求めた酸量と明確な相関性が見られなかったが,IRによって測定したプロトン酸量とは強い相関性が認められた.したがって,この反応はもっぱらBronsted酸点によりすすむものである.(投稿中) 3.HβにAlを含浸し,これをさらにアンモニア水で処理すると,フリーデルクラフツアシル化反応における活性が増大する事がわかった.同時に,アンモニアTPDでは,h-ピーク酸量が増大した.この酸点が触媒活性を高めていると思われる. 4.Al濃度が高いモルデナイト触媒中の骨格内Alが空気中の少量の水分によって脱Alされる事が明確になった.これは,酸点の性質を理解する上で重要な結論である.(投稿予定) 5.パラフィン分解活性の向上をもたらすUSYのEDTA処理方法の最適化をおこなった.処理温度,時間,試薬の種類を決定した.(投稿中) 6.量子化学計算の用意をすすめている.しかし,まだ結果を得るまでにはいたっていない. 7.さらにはじめの計画にはないものであるが,IRを用いるアンモニアTPDの研究を追加して行った.これにより,IRの結果を直接的にTPDの情報とリンクすることができ,酸点構造を明かにすることが期待される.
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