研究概要 |
本研究は,逆均一沈殿法により種々の金属酸化物触媒を合成し,得られた酸化物のキャラクタリゼーション,触媒活性評価を通して,新規かつ簡便な複合金属酸化物触媒の合成法としての逆均一沈殿法の特徴や可能性を明らかにすることを目的としている.本年度はペロブスカイトを中心に検討し,得られた結果を下記に要約する. ・LaMnO_3合成において生成物の表面積は,金属硝酸塩水溶液濃度に対して0.2M>0.4M>0.02M,アンモニア水溶液濃度に対して28%>30%>19%の序列で変化し,両溶液に最適濃度があることが明らかとなった. ・金属塩として,硝酸塩以外に酢酸塩を用いても低温合成,高表面積化が可能であった. ・アルカリ沈殿溶液としては,アンモニア水以外にテトラメチルアンモニウムヒドロキサイド,NaOH, KOH水溶液なども使用可能であることがわかった.ただし,NaOH, KOH水溶液を用いた場合,生成物の表面積,粒子径の点ではそれ以外と遜色ないが,プロパンの酸化触媒活性は極めて低いことがわかった. ・アンモニア水溶液中へのテトラアルキルアンモニウム(R_4N^+)の添加効果を詳細に検討したところ,LaMnO_3合成ではMe_4N^+の添加により表面積が増加するが,LaFeO_3では添加効果は小さく,R_4N^+添加効果は対象とする酸化物に依存することがわかった.なお,前駆体水酸化物コロイドの粒子径はR_4N^+のアルキル基の疎水性が高いほど小さくなる傾向が認められた(none>Me>Et>Pr). ・LaMn_<0.8>Cu_<0.2>O_3が水素中の微量CO酸化除去反応に対して極めて優れた触媒であることを見出した.また,その活性は触媒調製条件に依存し,表面積と結晶性のバランスから逆均一沈殿法,750℃焼成が最良の調整条件であることを明らかにした.
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