研究概要 |
本研究は,逆均一沈殿法により種々の金属酸化物触媒を合成し,得られた酸化物のキャラクタリゼーション,触媒活性評価を通して,新規かつ簡便な複合金属酸化物触媒の合成法としての逆均一沈殿法の特徴や可能性を明らかにすることを目的としている.得られた結果を以下に要約する. ・強アルカリ性のアンモニア水溶液中にLa, Mn(場合によってはSr, Ca)の混合水溶液を滴下することにより従来法よりペロブスカイト相の生成温度を約200℃低下することができた. ・アンモニア水溶液中へのテトラアルキルアンモニウム(R_4N^+)の添加効果を詳細に検討したところ,LaMnO_3合成ではMe_4N^+の添加により表面積が増加することがわかった.なお,前駆体水酸化物コロイドの粒子径はR_4N^+のアルキル基の疎水性が高いほど小さくなる傾向が認められた(none>Me>Et>Pr). ・アルミナ担体の細孔内を空間規制された反応場として利用した担持ペロブスカイト触媒合成の検討として,細孔内逆均一沈殿法(アルカリ水溶液,次に金属硝酸塩水溶液を細孔容積と同量になる割合でアルミナに吸い取らせ,細孔内で水酸化物前駆体を合成する方法)を行ない,La-Fe系,La-Co系ペロブスカイトのプロパンの酸化活性試験を行ったところ,アルミナ担体と水酸化物の物理混合法や水酸化物コロイド溶液を用いてアルミナに含浸させる逆均一沈殿水酸化物含浸法に比べて高活性を示すことを見出した. ・逆均一沈殿法によりセリア-ジルコニア固溶体の合成も可能で,低温合成したものは従来法によるものより組成均一性が高く高表面積を示した. ・LaMn_<0.8>Cu_<0.2>O_3が水素中の微量CO酸化除去反応に対して極めて優れた触媒であることを見出した.また,その活性は触媒調製条件に依存し,表面積と結晶性のバランスから逆均一沈殿法,750℃焼成が最良の調製条件であることを明らかにした.
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