研究概要 |
固体高分子形燃料電池は燃料ガスを電極上で直接反応させ、電極触媒を必要としている。マイクロ電極は多様な反応系の解析に極めて有用であり、微小粒子触媒の電気化学測定、反応機構の解析に威力を発揮するだけでなく、実使用環境に近い条件下で使えるという特徴を有する。当該研究の目的は、ウルトラマイクロ電極の開発を通して学問的な固体高分子/電極触媒界面の電気化学体系を構築することにある。 (1)ウルトラマイクロ電極による固体高分子/電極界面の電極反応の解析 : 各種形状のマイクロ電極を作製・使用した結果から,気相電極反応はイオン伝導が律速になっていることが明らかになった。固体高分子電解質(ナフィオン)の被覆の有無でメタノールガスの反応を観測した結果,電流値が200倍も向上した。また,ナフィオンのメタノールガス検出における形状変化の観測に新規購入したAFMが大きく貢献した。 集積化マイクロ電極をナフィオン膜(約2μm)で被覆し、水素のガス系電極酸化を測定したところ,酸化反応を示す明瞭な電極ピークが観測された。この電流値は,水溶液中で観測される水素酸化電流の数十倍高い値を示した。次いで、メタノールの気相反応をメタノールと水の蒸発比を変えて測定した。水を供給しない場合は,明瞭なピークが観測されずメタノール酸化は水分子を必要とすることがストレートに観測できた。 (2)ウルトラマイクロ電極を用いた電極触媒反応機構の解明 : 電極触媒単独の拳動を研究するため,先端部をエッチングし白金担持カーボン触媒を充填した多孔質マイクロ電極を作製して,電気化学測定を行った。メタノール酸化のボルタモグラムを測定した結果,非常に大きな電流値が観測され,触媒粒子の大きな比表面積の効果が観測される。同時に,触媒を用いた場合に,メタノール酸化のピークがカソード方向にシフトしているようすも観測され,この電極が電極触媒粒子を的確に評価できる手段となりうることを示した。
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