研究概要 |
1.ガラス融体のボルタンメトリー ソーダ・ライム系、リン酸塩及び多成分系無アルカリガラス融体中のFe、Sn、Ce、Sイオンの酸化還元挙動を微分パルスボルタンメトリーによって調べた。電流ー電位曲線のピーク位置から半波電位を算出し、温度及び組成との関連を見た。すべての金属イオンについて温度上昇とともに還元体の濃度が増すことが確認された。ソーダライム系融体のFeイオンについてはFe^<2+>/Fe^<3+>平衡はFe^<3+>の錯形成反応と塩基度によって支配されることがわかった。無アルカリガラス(SiO_2-B_2O_3-Al_2O_3-CaO)融体中のSnイオンのボルタンメトリーにおいてはNa^+添加量を変えて融体の半波電位を求めNa^+の濃度ゼロに外挿することで無アルカリガラスにおける平衡を論じることができた。 2.ガラスの分光学的研究-ガラスのNMR 無アルカリガラス(MO (M_2O)-SiO_2-Al_2O_3-B_2O_3)の^<11>B,^<27>Al及び^<29>SiNMRスペクトルのピーク分離よりアルカリ及びアルカリ土類金属酸化物のSiO_2,Al_2O_3およびB_2O_3との反応性の序列を決定した。K_2O>Na_2O>BaO>SrO>CaO>PbO>MgO>ZnOの順にB_2O_3との反応性が大きいことが分かり、結果をSi (Q_3)+B (Q_3)=Si (Q_4)+B (Q_4): K=[Si (Q_4)][B(Q_4)]/[Si(Q_3)][B(Q_3)]なる平衡反応で記述することができた。 3.清澄作用 清澄作用には清澄イオンの酸化還元平衡の温度依存性が重要である。金属イオンの場合にはガラス溶融温度において[酸化体]/[還元体]濃度比が1付近にあることが重要で、無アルカリガラスにおいてSnイオンが適していることが予想された。また硫黄については亡硝の温度上昇による分解反応(不可逆)によるものであることが分かった。
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