研究課題/領域番号 |
13450358
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
芳尾 真幸 佐賀大学, 理工学部, 教授 (60037885)
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研究分担者 |
中村 博吉 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (00295023)
野口 英行 佐賀大学, 理工学部, 教授 (60093978)
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キーワード | リチウム電池 / 固溶体 / 層状構造 / LiNi_<0.5>Mn_<0.5>O_2 / LiNi_<0.5>Ti_<0.5>O_2 / LiNi_<1 / 3>Co_<1 / 3>Mn_<1 / 3>O_3 / Li_2TiO_3 / 正極材料 |
研究概要 |
本年度はニッケル含有の正極材料について研究を進めた。元素の均一分散が可能なスプレードライ法で作成した原料を用い、LiNi_<0.5>Mn_<0.5-x>Ti_xO_2の合成した。0<x<0.5の全組成領域でMnをTiに置換可能であることを見出した。TiによるMnの置換は層状化合物の生成を促進し、x>0.02になると未反応NiOの生成が抑制され、単一相の化合物が得られる。この化合物群はx<0.3であればLi相とNi相が分離した層状岩塩構造を保持するがx>0.4以上ではが全組成範囲で生成し、層状構造を保つことを明らかにした。この材料の電池特性は、0.02<x<0.1の範囲が良好で、xが大きくなりカチオンミキシングが増加するにつれ、室温放電容量は低下する。本研究成果は昨年度米国電気化学で報告し、その成果の一部はITE Letter(掲載済み)と電気化学関係誌に投稿中である。Tiを置換すると層状化合物が得られやすいことに注目し、従来高性能材料は得られないとされていた固相法による置換体合成も試み、未反応NiOが残るものの良好な電池特性を示すことを明らかにした。二つの合成法による電気化学特性の違いは、放電曲線の違いから判断できることを明らかにし、現在J.Power Source誌に成果を投稿中である。 また高容量材料として知られるLiCo_<1/3>Ni_<1/3>Mn_<1/3>O_2固溶体の特性が1サイクル目の充電曲線の形状から判断できることを明らかにした。この原因は、XRD的に検出不能でも未反応NiOが共存すると過剰Liの存在の為、Li_2MnO_3との固溶体へと変化し、この固溶体に特有の4.4Vピークとして検出されることを提案した。この成果の一部は、昨年度米国電気化学会で公表し、またJ.Power Sources誌でも公表される。また、本年度の大きな成果は、岩塩構造の材料(LiNi_<0.5>Ti_<0.5>O_2)が50℃以上で150mAh/g以上の容量を示すことを見出したことも、新たな電池材料の探索という観点で大きな前進であった。
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