アキシャル基としてメチル基を有するロジウムポルフィリン錯体環状ダイマーとC_<120>が1:1複合体を形成し、C_<120>がポルフィリンダイマーの空孔内で解離することなく振動する現象を見いだした。温度可変^1H NMRによる実測値とスペクトルシミュレーションとの比較から、各温度による振動周波数を見積もることが可能であることを利用して、振動過程の熱力学的解析を行ったところ、振動の遷移状態はエントロピー的に有利であり、この振動がエントロピー駆動型であることが分かった。さらに、フラーレンの良溶媒中ほど振動周波数は遅く、溶媒と溶媒中にはみ出したC_<60>部位との相互作用が強いほど、振動が起こりにくいことが示唆された。また、非対称なフラーレンダイマーであるC_<130>とメチルロジウムポルフィリン環状二量体との複合体において、ホストはC_<70>側に片寄って存在することが、C_<130>及びC_<140>をゲストとする複合体との比較から明らかになった。飽和移動実験やスペクトルシミュレーションとの比較から、内包されたC_<130>は温度に依存した異方的な振動を解離することなく起こすことが明らかになった。 また、La@C_<82>と常磁性である銅ポルフィリン錯体環状ダイマーを複合化させた場合、フラーレン、銅ポルフィリン双方に存在するスピンの間に強磁性的相互作用が働くことが、SQUID及び2次元ESRスビンニューテーション測定より明らかになった。銅ポルフィリン錯体環状ダイマー単独、もしくはスピンを持たないC_<60>を包摂した銅ポルフィリン錯体環状ダイマーにおいては、銅イオンのスピン同士の相互作用はなく、La@C_<82>上のスピンが中継することで、全体のスピンが揃うことが示された。
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