研究概要 |
6種類の人工イオンチャネルを合成し、脂質2分子膜法によって特性を評価した。はじめに合成した膜貫通型チャネルbis(7,12-dimethyl-24-carboxy-3-cholanyl)-N, N'-xylylene dicaronate 1とbis[7,12-dimethyl-24-(N, N, N-trimethylethanaminium-2-carboxylate)-3-cholanyl]-N,N'-xylylene dicarbamate dichloride 2は安定なシングルイオンチャネル特性を示し、そのカリウム/クロリドイオン透過性比はそれぞれ17と7.9であった。またカリウム/ナトリウムイオン透過性比はそれぞれ3.1と3.2となった。 次に膜貫通型チャネルの両末端に電荷の異なる親水基を導入することによって電荷が非対称なイオンチャネル3と4を合成した。3はモノリン酸エステル基とカルボン酸基を有し、4はカルボン酸基とアルコール基を有している。KCl溶液条件下、シングルイオンチャネルの電流/電圧の関係は原点を通る曲線となり、整流特性を有する電位依存イオンチャネルとなることがわかった。 さらに、NH3+-L-Ala-D-Leu-L-Ala-D-Val-L-Val-D-Val-L-Trp-D-Leu-L-Trp-D-Leu-L-Trp-D-Leu-CO2-(5)とNH3+-L-Val-Gly-L-Ala-D-Leu-L-Ala-D-Val-L-Val-D-Val-L-Trp-D-Leu-L-Trp-D-Leu-L-Trp-D-Leu-L-Trp-CO2-(6)の配列を持つ2つのオリゴペプチドを合成し、イオンチャネル特性を調べたところ、チャネルの開確率の電位依存性が観測された。2つのオリゴペプチドは両末端に異なる電荷を有しており、これらの作用が電位依存チャネルを発現していると考えられる。
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