研究課題/領域番号 |
13450375
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
松村 功啓 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60026309)
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研究分担者 |
真木 俊英 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (10291535)
尾野村 治 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (60304961)
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キーワード | アシルイミニウムイオン / 不斉 / 電解酸化 / 炭素求核剤 / 銅イオン |
研究概要 |
光学活性α位置換環状アミノ化合物は生理活性化合物が多く有機合成の重要な標的物質であるが、従来法ではその合成に多段階操作を要した。不斉な環状アシルイミニウムイオンを創成できれば、求核剤を不斉に導入でき一挙に光学活性α位置換環状アミノ化合物を合成できる。しかし、アシルイミニウムイオンは平面構造をとる典型的なカルベニウムイオンであり、これまで不斉アシルイミニウムイオンを創成するのは困難であった。本研究で、キラルルイス酸を用いることにより不斉に求核剤をアキラルなアシルイミニウムイオンに導入できる方法を開拓した。即ち、窒素原子をベンゾイル基で保護したピペリジンをMeOH溶媒で電解酸化してα-メトキシ-N-ベンゾイルピペリジンとし、次いでそのβ、γ位に二重結合を導入、最後に、この不飽和化合物にキラルなビスオキサゾリンと2価の銅イオンを触媒量存在させてマロン酸ジメチルエステルを反応させると、ジメチルマロニル基がピペリジン環のα位に不斉に導入された。その不斉収率は46%eeであった。さらに窒素の保護基をp-シアノベンゾイル基にすれば53%eeにまで炭素求核剤導入反応の選択性を向上できた。一方、出発物の窒素の保護基をメトキシカルボニル基にすると、求核剤不斉導入の選択性は21%に低下した。また、マロン酸エステルのアルコール残基をメタノール以外のアルコールに変えると炭素結合形成反応が全く進行しなかった。さらに、生成した生成物の絶対構造を既知化合物に変換することによって確定した。以上の結果から、中間にキラル銅触媒が配位した不斉アシルイミニウムイオンが生成し、これに構造的に小さなマロン酸ジメチルが不斉に攻撃する機構を提案することができた。
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