環状トポロジー構造高分子の一般的かつ高効率合成の鍵となる、低濃度の高分子鎖末端を連結し大環状構造を効率的に形成する新たな戦略として、高分子前駆体の静電相互作用に基づく自己組織化と共有結合への変換・固定化を統合した逐次プロセス(Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation)を創案し、研究を展開した。本研究によって、従来実用的スケールで得ることが困難であった多環状構造を含む新奇高分子化合物群を高効率に合成する新反応システムを開発することに成功した。これら単環状および複環状構造を含む非線形高分子トポロジーは、幾何学的な知的好奇心の対象となるだけでなく、"分子デバイス"・"分子マシン"と総称される次世代新材料を実現するための基礎としても重要な意義を持つものと考えられる。また、単環状および複環状構造を含む高分子群では、末端が存在しないという直鎖状・分岐状高分子とは異なるトポロジーに起因する新奇な物性を発現することから、これまで直鎖状および分岐状高分子を基礎としてきた高分子材料開発のパラダイムの転換にもつながる革新的技術となると期待される。
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