研究概要 |
カリックスアレーン(CA)類,p-メチルカリックス[6]-アレーン(MCA),p-tert-ブチルカリックスアレーン(BCA),カリックスレゾルシンアレーン(CRA)の水酸基部位をtert-ブトキシカルボニル基に置換したCA誘導体類および、CA類の水酸基部位をアセタール基に置換したCA誘導体をそれぞれ合成した。tert-ブトキシカルボニル基およびアセタール基は酸により容易に分解されカルボキシル基を生じることから、これらの官能基を有するCA類はポジ型フォトレジスト材料としての応用が期待される。そこで、合成したCA誘導体類の光脱保護反応を以下のようにして検討した。CA誘導体類の薄膜を作成し、光酸発生剤存在下、光照射後、150℃で数分間加熱し、IRにより光脱保護反応を追跡した。その結果、光脱保護反応は、いずれのCA誘導体類においても進行したが、脱保護反応率は50%程度に留まる結果になった。このことは、合成したCA誘導体類の溶解性が悪いため薄膜を作成するところで、均一な膜にならなかったためと考えられる。そこで、溶解性および製膜性の向上を期待し、長鎖アルキル基とtert-ブトキシカルボニル基を有する新規カリックスレゾルシンアレーン(CRA)を合成し、その光脱保護反応について検討した。その結果、脱保護反応は速やかに定量的に進行した。このことは、今後、パターン形成能を評価することで、新規な光機能性材料としての展開の可能性を明らかにすることができる。
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