研究概要 |
環状エーテル基を有するカリックスアレーン誘導体類を合成しその光反応性について検討した。P-メチル-カリックス[6]アレーン(MCA),p-tert-ブチル-カリックス[8]アレーン(BCA),およびカリックスレゾルシン[4]アレーンを基盤として、オキセタニル基を有するカリックスアレーン誘導体類を合成した。MCA、BCA、およびCRAと3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)トシレートとNMP中、塩基としてKOHを用い、室温下、48時間の条件で反応を行い、目的とする化合物を得た。 さらに、オキシラニル基を有するカリックスアレーン誘導体類は、MCA、BCA、CRAとエピブロモヒドリンとの反応を塩基としてCs_2CO_3を用いることで目的とする化合物を得た。カリックスアレーン誘導体類のそれぞれを用いて5 mol%の光酸発生剤を添加したフィルムを調整し、UVを照射した後、150℃前後で加熱した結果、速やかに光カチオン重合が進行することが分かった。 オキセタニル基を有する方がオキシラニル基を有する誘導体より光反応性が高く、またCRA誘導体が最も光反応性に優れていることが判明した。さらに、スピロオルトエーテル基を有するカリックスアレーン誘導体類はスペーサーを導入したMCA, BCA,およびCRAと2-ブロモエチル-1,4,6-トリオキサスピロ[4,4]ノナン(BMTSN)との反応をDBU存在下で行うことで合成し、同様に光酸発生剤を含む薄膜を調整し、UV光照射した後、150℃で加熱処理した結果、光架橋反応は速やかに進行することが判明した。 また、得られたカリックスアレーン誘導体類のT_<d10>は366-414℃であり、耐熱性は非常に高いことが判明した。特に環状構造のサイズが小さいCRA誘導体は最も耐熱性が高かった。 これらの結果は、得られた環状エーテル類を有するカリックスアレーン誘導体類は高感度の新しいネガ型レジスト材料としての展開が期待された。
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