研究課題/領域番号 |
13450392
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
こうじ谷 信三 京都大学, 化学研究所, 教授 (50027900)
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研究分担者 |
浦山 健治 京都大学, 化学研究所, 助手 (20263147)
辻 正樹 京都大学, 化学研究所, 助教授 (60172003)
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キーワード | ポリマーネットワーク / 化学ゲル / 物理ゲル / TEM |
研究概要 |
高分子ゲルはそのネットワーク構造の要因となる架橋構造が化学結合であるか物理的相互作用であるかにより、それぞれ化学ゲルあるいは物理ゲルと呼ばれることがある。いずれの網目も本質的にアモルファス構造であるが、高分子溶液には見られない長距離構造が存在することが小角散乱測定などから示唆され注目を集めている。しかし、その網目構造を直接観察した例はなく、ゲルの構造の描像と理解は曖昧なままである。本研究では、クライオ透過型電子顕微鏡(TEM)法などを駆使し、溶媒を含んだ状態でのゲルの網目構造の直接観察を目的とした。物理ゲルとしてアイソタクチックポリスチレンをとり挙げ、まずバルク状態でのモルフォロジーをTEMにより明らかにした。 化学ゲルにおける網目の微視的構造を明確にするために、ゲルの作製に末端架橋法を用いた。ここでは、両末端反応性ポリジメチルシロキサン(PDMS)を4官能性低分子シラン化合物で末端架橋し、PDMS網目を作製した。PDMSに対し電子密度コントラストが十分で、膨潤剤として働く溶媒としてテトラデカンを選択した。テトラデカンは不揮発性であり、液体状態で電子ビームが当たっても多量のガスなどを生じないことがわかったので、クライオ法を用いず、室温でTEM観察に供した。残念ながら、X線散乱実験などの予備実験から期待されたほどの電子密度コントラストが得られず、はっきりとした網目の高次構造は観察できなかった。来年度は、オスミウム酸などにより網目骨格の染色を行い、さらに電子密度コントラストの向上を計る予定である。
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