研究課題/領域番号 |
13450399
|
研究機関 | 宇宙科学研究所 |
研究代表者 |
小野田 淳次郎 宇宙科学研究所, 宇宙輸送研究系, 教授 (20013740)
|
研究分担者 |
徳田 正孝 三重大学, 工学部, 教授 (90023233)
峯杉 賢治 宇宙科学研究所, 宇宙輸送研究系, 助教授 (90239327)
佐藤 英一 宇宙科学研究所, 宇宙輸送研究系, 助教授 (40178710)
田邊 靖博 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (70163607)
松尾 陽太郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70016608)
|
キーワード | 炭素系材料 / 脆性材料 / 破壊 / ワイブル統計 / グラファイト / 多軸応力 / 力学 |
研究概要 |
宇宙科学研究所M-Vロケット4号機打上げ失敗は、グラファイト製ノズルスロートインサートの破壊が原因とされている。グラファイトのような脆性材料を重要部品に使用するにあたっては破壊統計論に基づいた設計が必要であるということが、M-V4号機から学んだことの一つである。ここでの状況は、従来の金属材料を基とした硬化則、破壊則は成立しないが、グラファイト材料に対するそれは未だ学問的にも確立していない。 本研究では、引張(圧縮)-ねじり試験機を試作し、等方性グラファイトIG-12の平面応力2軸破壊挙動の実験、すなわち一定圧縮応力負荷でのねじり試験および一定トルク負荷での圧縮試験を行った。最小主応力σ_3が圧縮側に大きくなるにつれ、破壊時の最大主応力σ_1が徐々に小さくなることが確認された。すなわち、本テーマの発端である「脆性材料の破壊応力は多軸応力状態では低下する」現象が実際に確認された。圧縮応力が引張破壊応力の2.5倍以下のときは、実験的に得られた破壊曲面は、K_<llc>/K_<lc>=1.2としたときの破壊統計論に基づく破壊曲面とよく一致していた。これによりグラファイトではじめて多軸破壊統計論の実験的検証が得られた。また、圧縮応力が引張破壊応力の2.5倍以上になると、延性材料と同様のMises則に従う挙動が観察された。 なお、脆性材料であるグラファイトも圧縮・ねじり試験では大きな見かけの加工硬化を示すが、この挙動は相当応力-相当ひずみによる整理では記述できないことが実験的に確認された。今後は、見かけのポアソン比の測定を含んだ圧縮・ねじり試験を行い、等方性グラファイトの多軸硬化則の定式化を行う。
|