研究概要 |
昨年の実験,および数値計算からカプセル形状では角の丸みが増すことで遷音速領域において非線形性が強まること,およびその流れメカニズムが明らかになった.また限られたケースではあるが数値計算の信頼性が明らかとなった. 本年は,実験として一部模型の再制作を行い昨年不十分であった形状に関する実験を行った.実験条件に合わせたスティング付きのシミュレーションを行い,シミュレーションの信頼性の評価を行うことができた.同時に風洞規模の制約から,特定の迎角範囲を除いてはスティングの存在が空力特性に与える影響が無視できないことが明らかになった.しかしながら,全体としてシミュレーションによって初期フライト軌道設計などに利用する空気力評価は十分に行えることが明らかになった. 本年のもう1つの目標である種々の再使用型機体に関する空力特性の把握に関しては,200ケース以上のシミュレーションを行い,形状パラメータ,マッハ数,迎角などの影響を整理し,空力特性と形状との関係を明らかにすることができた.全体抵抗に占めるベース圧による抵抗は遷音速以下の低いマッハ数では数十%程度,高いマッハ数ではほとんど影響しなくなることが明らかになったが,シミュレーション結果は,乱流モデルを利用したいわゆるRANSシミュレーションではモデルに工夫をしても正確なベース流れの予測は不可能であることを示した.そのため,現象を議論することを目的に,RANSによるシミュレーションと並行してLESハイブリッドモデルを利用したプログラム開発を行った.簡単な形状に関するベース流れの予測はこれにより格段に向上することが明らかになった. 多数のシミュレーション結果は整理されており,すでに最終年度に向けてデータベース構築を開始している.航技研,他大学などの協力を仰いで他のソフトウェアや市販のソフトウェアを利用した検証を実現することができなかったのでこれは最終年度の課題としたい.
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