研究概要 |
航空分野と異なり流体シミュレーション(CFD)技術の信頼性が確立していない宇宙輸送分野において,今後開発されるロケットや再使用を含めた将来輸送系の設計に役立たせることを目標にCFD技術の検証と信頼性確立に向けた研究を行った. 昨年までの実験,数値計算から,格子解像度,乱流モデルなどがシミュレーション結果の信頼性に及ぼす効果が明らかになったので,本年度は,形状を軸対称基本形状から拡張して(1)バイコニカル形状,(2)エアロスパイクロケットノズルをイメージしたプラグつき形態,の2種の機体形状を基本として形状パラメータを変化させ一連のシミュレーションを行った.結果に基づいて空力特性をデータベース化するととともに,背景となる流れ現象を明確にした.これらの成果は,それぞれ2004年に開催される国際会議において報告予定となっている. 一方で,これまでの研究から風洞でのスティングの存在が与える効果やベース流れの詳細の議論には既存の乱流モデルを利用した手法に限界があることが明らかになったことを受けて,昨年来開発を進めてきた非定常詳細シミュレーション手法であるLES/RANSハイブリッド法を利用して,基本となるベース流れのシミュレーション精度の向上と信頼性の確認などを行った.その結果,この手法が今後5年程度の時間スパンで実用レベルの計算機資源を利用した最も優れた流れ解析手法と言えることが明らかとなった. もう1つの課題となっていた,数値シミュレーション蓄積データを将来の宇宙機設計に利用できる形に整えることに関しては,必要なデータは蓄積できたと考えている.但し,一部データ移行作業や加えたい追加シミュレーションデータなどもあり,公開データベースに登録できるのは数ヶ月先になる. 最後に,最終年度としてこの3年間の成果を報告書にまとめ,本研究を総括した.
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