研究課題/領域番号 |
13450412
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
恒川 昌美 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40002026)
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研究分担者 |
広吉 直樹 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50250486)
平島 剛 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00175556)
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キーワード | 黄銅鉱 / 浸出 / 酸化還元 / 電位 / 活性化 / 不働態 / インピーダンス / アノード溶解 |
研究概要 |
所定濃度のFe(III)、Fe(II)およびCu(II)を含む硫酸溶液を浸出液に用いて黄銅鉱粉末試料の酸化浸出実験を行い、浸出速度に及ぼす溶液電位(Fe(III)とFe(II)の濃度比で決定される酸化還元電位)の影響を調べた。浸出速度は、高電位域では低かったが、ある臨界値よりも電位が低くなると急激に増大した。しかし、さらに電位が低下すると浸出速度は徐々に低下した。 黄銅鉱電極を作用極、Pt電極を対極、飽和Ag-AgCl電極を参照極とする三電極法でアノード分極測定と交流インピーダンス測定を行なった。電解液には所定濃度のCu(II)とFe(II)を含む硫酸溶液を用いた。Cu(II)-Fe(II)無添加の場合やどちらか一方のイオンのみを添加した場合、黄銅鉱のアノード溶解電流は電位の上昇に伴って単調に増加した。しかし、Cu(II)とFe(II)が共存するとアノード分極曲線に活性態-不働態挙動が現れた。すなわち、Cu(II)-Fe(II)共存下では、低電位域で黄銅鉱のアノード溶解反応が活性化され、他の場合と比べて高い電流が流れたが、電位がある値よりも高くなると電流が急激に減少した。 アノード溶解過程の黄銅鉱電極の交流インピーダンスは、Cu(II)-Fe(II)無添加の場合やこれらの一方のみを含む溶液中では、RC並列回路(抵抗成分Rと容量成分Cの並列回路)と溶液抵抗Rsの直列回路を等価回路として用いて表された。Cu(II)-Fe(II)共存系の不働態域におけるインピーダンスは上と同じくRC並列回路と溶液抵抗Rsからなる直列回路で表されたが、活性態域の等価回路はふたつのRC並列回路と溶液抵抗Rsの直列回路となった。これらのことから、低電位領域における黄銅鉱の高速浸出(活性化)はCu(II)とFe(II)の共存により生じ、この過程では2層からなる反応生成物層が黄銅鉱表面に存在することが明らかとなった。
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