CO2地中隔離の実用を考えた場合、帯水層に圧入したCO2が長期的(数百年のオーダー)に安定して隔離され得るか、また、これが否の場合、どの程度の速度で逸散するかを予測する手法は未だ確立されていない。このような観点から、CO2の多様な性状の地層水に対する拡散・分散効果に関する実験・分析とシミュレータによる流動予測が不可欠と考え、今年度は以下の研究項目を実施した。 1.流線追跡アルゴリズムの開発 多次元流動をストリームチューブに分割するために、多次元流動の流線追跡アルゴリズムを開発する。その際、各追跡点での移流速度を合わせて評価する。媒体には任意の位置に天然亀裂を含むことができる機能を付加する。これにより、二酸化炭素の亀裂に沿った選択的流れや対象層外への漏洩をシミュレートすることができる。 2.速度依存移流・分散解の適用 移流速度に依存する分散係数を反映した一次元移流・分散解を、各ストリームチューブに適用するアルゴリズムを開発する。これにより、二酸化炭素の分散による拡がりをシミュレートすることができる 3.流れの可視化 上記1.と2.を組み合わせて、移流・分散によるC02の逸散を計算し、これを容易に認識できるような可視化モジュールを開発する。
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