研究概要 |
岩盤内における流体の移動現象は力学的要素とならんで各種地下開発の設計やそれに関連した環境問題に不可欠の要素である.本研究では,飽和及び不飽和状態の岩石の流体移動特性の評価手法を確立することを目的に,以下に示す研究を行った. 1.難透水性岩石を対象とする高精度な汎用的透水試験法の確立 既に開発している汎用型透水試験装置を用い,稲田花崗岩及び白浜砂岩を対象にトランジェントパルス法,フローポンプ法、定水位法による透水試験を実施した.各試験法による透水係数及び比貯留率の評価結果は概ね一致すること,開発した汎用型試験装置および試験理論は難透水性の評価に有効であることを示した.また,変水位法に改良を加え,トランジェントパルス法との比較試験を行った.その結果,変水位法においても難透水性の評価が可能であることを確認した.以上の内容とこれまでの研究成果を踏まえ,難透水性地盤の流体移動特性の試験技術及び評価理論を総括し,誌上論文として公表した. 2.完全乾燥及び不飽和状態の岩石を対象とする透気・透水試験法の提案 新たに透気試験装置を開発し,稲田花崗岩及び白浜砂岩に対して定圧透気試験及び,比較検証のための透水試験を実施した.各試験の結果は(透水係数及び透気係数)は整合性を有しており,難透水性岩石の流体移動特性の評価方法として,透気試験が有効であることを示した. 岩を対象とする室内不飽和透水試験の開発に先立ち,従来の土及び粘性土を対象に開発された不飽和透水試験法について簡略に整理し,試験の評価方法及び評価に用いる不飽和透水係数の主な関数モデルに対して解析的に検証を行った.その結果,岩を対象とする試験の評価方法として,逆解析法が有効であることを示し,含水率の変化範囲が小さい試験条件下では,異なる関数モデルを用いても不飽和透水係数の評価結果は殆ど同じとなることなどを明らかにした.
|