研究分担者 |
張 銘 (独)産業技術総合研究所, 主任研究員(研究職)
周 国云 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (50322293)
三谷 泰浩 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (20301343)
池見 浩明 九州大学, 大学院・工学研究院, 非常勤学術研究員
ZHANG Ming Research Center for Deep Geological Environments, Senior Researcher
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研究概要 |
本年度は,従来の室内透水試験における諸問題を整理・解決し,開発した汎用型透水試験装置を用い,地下深部難透過性岩盤の存在状況を再現する高い拘束圧,高い間隙水圧,比較的低い動水勾配の条件下で,稲田花崗岩及び白浜砂岩を対象にトランジェントパルス法,フローポンプ法,定水位法によるクロスチェック試験を実施した.以下に,得られた結論を示す. (1)開発した新しい室内汎用透水試験システムにより,高い拘束圧,高い間隙水圧,比較的低い動水勾配の条件下で,上記3試験法を1台の装置により実施することが可能となった. (2)各試験法から得られた透水係数にはある程度の差異が認められるが,オーダー的に同じである.これらの差異はトランジェントパルス試験の初期における極めて激しく変化する水頭差の測定や,配管の極めて小さい漏れおよび僅かな温度変化などによる誤差と考えられる. (3)定水位及びフローポンプ透水試験では同程度の長時間を要し,透水係数の評価結果もほとんど同じとなった.また,各試験法から得られた透水係数には試験条件によらず,同傾向の大小関係が認められ,試験法による差異は最大2〜4倍以内であることも判明した.透水係数の"真"の値は不明であるため,最も良い試験法は判断され難いが,これら差異の原因をさらに究明することによって,難透水性材料の透水係数をより高精度に評価できると考えられる. (4)フローポンプ透水試験の結果から,厳密解析理論に基づく逆解析手法によって難透過性材料の透水試験に必要な計測時間を大幅に短縮することが可能となり,透水係数と比貯留率も同時に精度よく評価できることが判明した. (5)ASTM基準(D5048)では供試体の透水係数が10^<-7>cm/sよりも小さい場合,最大動水勾配を30と規定している.一連のクロスチェック試験をこの条件を満たした状態で実施することに成功した.
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