日本の経済技術援助により、1986年からミャンマーで稼動している9基の米籾殻専焼式発電プラントから排出された籾殻灰の新規素材化を目的として、まず灰自体のキャラクタリゼーションを行った。その結果、タイ王国バンコク経由で輸出されている籾殻灰は、9基の発電プラントから排出されている灰の混合物であり、約96mass%のシリカと約2mass%のカーボンを含有し、籾殻の原形を残したクリストバライト相および少量のトリディマイト相で構成される結晶質シリカの粗粒紛体であった。シリカ表面に付着する未燃カーボンは、静止空気雰囲気で1000℃加熱でも燃焼脱離せず、粉砕分離、磁気選別、浮力選別等の方法では分離除去が難しいことがわかった。そこで、空気〜高酸素分圧下で1200℃、24hの焼成を行ったところ、高結晶性・高純度の白色クリストバラィト粉末が調製された。焼成の最適条件は、反応率制御熱測定(CRTA)により決定された。 さらに米籾殻灰を3Mの水酸化ナトリウム水溶液中で80℃、1日間処理することにより、ほぼ完全に溶解した水溶液を出発物質として、これに所定量のアルミン酸ナトリウムを添加し、テフロン容器を内装したMorey型ボンベ中で水熱処理を行うことにより、アナルシム、A型、X型、P型の各種ゼオライトが合成できた。 また米籾殻灰の同じアルカリ溶解水溶液に、硝酸アルミニウム、過塩素酸を加え、さらにアンモニア水溶液を滴下して調製したアルミニウムオルト珪酸塩ゾルを水熱処理することにより、径数mm、長さ数μmオーダーのイモゴライトの繊維状結晶が合成された。
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