研究概要 |
イネ緑葉のミトコンドリアゲノムの全塩基配列を決定し、遺伝情報を解読するため、当研究室ですでにクローニングしてあるイネ品種「日本晴」のミトコンドリアゲノム全体をカバーする54個からなるラムダクローンのミトコンドリアDNA挿入部の塩基配列を決定した。まずラムダファージDNAのアーム部分にプライマーを置き、long PCRで挿入部を増幅し、それらを音波処理で細分化し、プラスミドにクローニングした。その後shot gun方式でクローンの塩基配列をDNAシークエンサーで決定し、これをプログラム「LASERGENE,を用いてつなぎ合わせて、ラムダクローンの挿入部の塩基配列とした。その結果、イネミトコンドリアゲノムの全長は490,520bpであり、平均GC含量は43.8%であることが明らかになった。また、イネミトコンドリアゲノムには6カ所の大きなダイレクトリピートが認められ、それは全ミトコンドリアゲノムの26.8%(131.7kb)を占めていた。イネミトコンドリアゲノム上にある遺伝子は現在までに、35個のタンパク質をコードする遺伝子、3個のリボソームRNA(5S,18S,26S)遺伝子、および18個の転移RNAの遺伝子が同定されている。これは同じイネの葉緑体ゲノムに比べ、遺伝子密度が非常に低いことを示している。高等植物ではすでにアラビドプシスとテンサイでミトコンドリアゲノムの全塩基配列が決定されているが、本研究の結果は単子葉植物では初めての成果であり、もちろん主要穀類の作物で初めてである。
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